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吉川 英樹
放射化学ニュース, (26), p.32 - 35, 2012/10
福島第一原子力発電所事故に伴い発生した放射性物質の環境への放出について、その環境修復の平成23年度の取り組みに参加した記録である。
浅井 志保; 岡野 正紀; 亀尾 裕
放射化学ニュース, (25), p.25 - 28, 2012/03
東京電力福島第一原子力発電所(以下、「福島第一原発」と略す)の事故によって多量の放射性物質が原子炉から放出され、大きな問題となっている。放出された放射性物質のうち、I, Cs、及びCsについては、数多くのモニタリングデータが蓄積され、汚染の程度や範囲の評価などに利用されている。しかしながら、原子炉内で多量に生成する核種であるSr及びSrについては、事故後に公開されたモニタリングデータ数がCs等に比べて極端に少なく、2011年8月現在で数件程度に留まっている。このことは、ストロンチウムがセシウムに比べて飛散しにくい元素であることも関係するが、Sr及びSrの分析に長時間を要することが大きな要因となっている。本稿では、Sr及びSrの分析に関連する放射化学的性質について解説するとともに、福島第一原発14号機のタービン建屋内たまり水を試料として実際に行ったSr及びSr分析の概要と結果について紹介する。
渡邉 茂樹; 石岡 典子
放射化学ニュース, (24), p.40 - 45, 2011/08
放射化学ニュースにおける「放射化学の最前線; マリーキュリーが目指したテーマ」の特集において「アイソトープの医学利用」と題して投稿する。本投稿内容は、医学分野におけるRIの利用についての現状、及び、これまでRI医療応用研究グループで進めてきた加速器あるいは原子炉を用いた新しいRIであるCu, Br, Luの製造とこれらRIを標識した薬剤の開発に関する最新成果について紹介したものである。
原田 秀郎; 木村 敦; 大島 真澄
放射化学ニュース, (24), p.1 - 7, 2011/08
大強度パルス中性子ビームを発生可能なJ-PARCの物質・生命科学実験施設に、中性子核反応測定装置(ANNRI)が設置され、運用が開始された。本装置は、原子力開発の分野で重要な放射性核種の中性子捕獲断面積の信頼性を向上させるために、開発したものである。中性子捕獲反応により発生する即発線を測定するために、Geスペクトロメータ及びNaIスペクトロメータが設置されているが、これらは、世界の同種の施設が採用した線スペクトロメータに比較し、線エネルギーの分解能が高いという優れた特徴を有する。本解説では、ANNRIの装置性能、ANNRIで期待される研究と世界の動向、及びANNRIの利用方法について紹介する。
國分 陽子
放射化学ニュース, (21), p.17 - 19, 2010/03
日本放射化学会2009年奨励賞の受賞に伴い、これまで行ってきた「環境試料中の極微量核物質の同位体比分析に関する研究」について紹介するものである。本研究では、環境試料中に極微量含まれる核物質の同位体比にかかわる分析方法を確立し、長崎原爆に由来する環境中のプルトニウムの特定及び保障措置のための環境試料分析技術の向上を行った。長崎原爆に関する研究では、放出起源の情報が得られるPu/Pu比に注目し、環境試料中に含まれる原爆由来プルトニウムの特定を試みた。長崎市西山貯水池堆積物及び爆心地周辺土壌中に含まれる1010gレベルのプルトニウムの同位体比を測定し、原爆由来プルトニウムの特定に成功した。また、保障措置環境試料分析の技術向上のため、不純物によるウラン同位体比測定の妨害を排除する新たな化学分離法の開発や分析中に外部から混入する天然ウランや不純物の低減方法について検討した。また、表面電離型質量分析装置を用いたプルトニウム及びウラン・プルトニウム混合酸化物を含む粒子状核物質のプルトニウムやウランの各同位体比測定法の開発も行った。
池田 篤史
放射化学ニュース, (21), p.14 - 17, 2010/03
本研究では、アクチノイド溶存錯体の直接構造同定法として放射光X線吸収分光(X-ray absorption spectroscopy: XAS)法に着目し、各種溶液中でのアクチノイドの溶存錯体構造をさまざまな酸化状態で同定・比較することで、アクチノイドの水溶液中での錯体化学特性に関する系統的かつ包括的な知見を導出した。
國分 陽子
放射化学ニュース, (17), p.49 - 50, 2008/03
本記事は、学位論文の要約を示したものである。学位論文では、放出源の情報を持つプルトニウム同位体比、Pu/Pu比を用いて原爆由来成分と核実験由来成分を区別し、長崎周辺に蓄積する原爆由来成分のみの分布を明らかにすることを試みた。西山貯水池の堆積物に記録された長崎原爆由来のPu及びCsの蓄積を時系列に沿って解析した。同位体比及び濃度の深度分布から、原爆由来のPu及びCsは原爆直後急激に蓄積している様子が見られた。また、核実験由来の成分も検出されたが、現在でも貯水池に流れ込むPuの大部分は原爆由来であり、貯水池周辺の土壌から供給されていた。爆心地周辺の表層土壌に蓄積する原爆由来Puの分布を明らかにした。爆心地半径約10km内では、原爆由来のPuが爆心地東側の地域に蓄積し、さらに遠方まで蓄積している可能性が見いだされた。調査範囲を東側に広げると、原爆由来のPuは、島原半島、さらに熊本県阿蘇山付近まで及んでいることが明らかとなった。以上、Pu/Pu比からPuの放出起源の特定を行い、原爆由来のPuの時間的,空間的分布に関する新しい知見を得た。
須郷 由美
放射化学ニュース, (17), p.51 - 52, 2008/03
-テトラオクチルジグリコールアミド(TODGA)を用いる分離プロセスを開発するにあたり、強い放射線場における抽出剤の安定性や放射線分解メカニズムを解明するため、線及び電子線パルスの照射実験を行った。その結果、ラジオリシスで観測されたドデカンによるTODGAの分解を促進する効果は、パルスラジオリシス法による放射線分解初期過程の観測結果から、溶媒-溶質間の電荷移動反応に起因することを明らかにした。また、アクチノイドイオンの溶媒抽出に及ぼす放射線の影響について調べた結果、高レベル廃液と同じ3.0M程度の硝酸水溶液からアクチノイドイオンを抽出する場合にはTODGAの放射線分解による抽出能の劣化は認められず、実プロセスでの繰り返し利用が可能であるとの見通しを得た。さらに、本研究で得られた放射線化学的知見をもとにより高性能な抽出剤を開発するための指針を得ることができた。
長谷川 信; 中西 孝*; 藤井 靖彦*; 小高 知宏*
放射化学ニュース, (17), p.29 - 35, 2008/03
近年の原子力人材育成に関する諸課題の解決は、横断的な教育環境のネットワーク化が糸口になる可能性がある。その実践的な試みとして、原子力機構と連携大学院を締結している金沢大学,東京工業大学及び福井大学の4者間がネットワークで結び、新しい教育体系による原子力人材育成の試みとして「原子力教育大学連携ネットワーク」という名称で推進している。本ネットワークの活動は、(1)遠隔講義による共通講座の実施,(2)実学としての学生実習の実施,(3)ネットワークの連携・協力強化の推進という、3つのミッションで進められている。また、原子力教育のネットワーク化は、原子力機構の中期目標として掲げられている重要なミッションの一つであり、今後とも各大学と緊密な協力・連携のもとネットワークの充実を図り、原子力人材育成で抱えている諸課題の解決のため、模索していく必要がある。
國分 陽子
放射化学ニュース, (14), P. 19, 2006/09
平成18年3月7日から9日までつくばにある高エネルギー加速器研究機構つくばキャンパスで行われた第7回「環境放射能」研究会について紹介し、参加者としての感想等を述べる。本研究会の主テーマは自然環境放射能,放射線・原子力施設環境放射能であり、今回の討論課題は「モデル研究の先端」と「産業活動と環境放射能研究」であった。前者については環境放射能・放射線にかかわるさまざまなモデルシミュレーションが紹介され、実際の観測結果との連携等について議論が行われた。また後者に関しては、放射性廃棄物や人為的に濃度が高められた天然放射性物質に関する研究が紹介された。討論課題に関する依頼講演を含め口頭発表が26件,ポスター発表が34件行われた。一般講演は、気象学,地球科学や生物学など環境科学に関する研究から分析手法の検討,原子力施設に関連する環境放射能の研究等幅広い内容の研究が報告された。また、2日目には研究会で初めての若手セッションが開催された。大学,研究機関に所属する30代の8人のパネラーが研究及び業務内容を紹介し、その後それぞれの関連性や協力できるところ等について議論が行われた。各研究について深い議論が行われ、また研究者間の連携の芽も作られ、筆者にとって有意義な研究会であった。
山西 敏彦
放射化学ニュース, (14), p.3 - 8, 2006/09
ITER等核融合炉の最大の特徴は、燃料として放射性物質である大量のトリチウム(T)を保有し取り扱うことにある。トリチウムそのものは、理工学基礎研究等に用いられ、また重水型原子炉施設では、低濃度ながら、大量のTが水の形で存在する。一方ITERでは、重水炉以上の大量のTを、水素,水,有機形と多様な化学形で取り扱う。しかも、燃料として注入されるTと環境に排出される不純物中のTでは濃度差が12桁あり、トリチウムプラントはこの濃度差のダイナミックレンジを取り扱わなければならない。本解説は、上記課題を抱えたITERトリチウムプラントに関する研究開発に関し、トリチウムプラントそのものの概要,日本原子力研究開発機構でのこれまでの研究活動の概要,ITER建設期を迎えるトリチウムの研究の今後の課題を記述したものである。
臼田 重和
放射化学ニュース, (12), p.22 - 23, 2005/08
2005年4月6日(水)から9日(土)までルクセンブルクで開催された「第10回微量金属のスペシエーション分析方法論にかかわるワークショップ」を紹介するため、会議の概要と印象をまとめた。本ワークショップは、国際環境分析化学会(IAEAC)が23年に一度開催する国際会議であり、主として環境学系における微量金属を対象に現在及び将来のスペシエーション分析の方法論を議論する会議であった。
駒 義和
放射化学ニュース, (6), 40 Pages, 2002/06
使用済み核燃料の再処理高レベル廃液から有機リン抽出剤(CMPO及びTBP)を含む混合溶媒を用いてAm及びCmを抽出し、キレート剤(DTPA)を含む溶液により希土類元素から分離して回収する方法について検討した。
木村 貴海
放射化学ニュース, (5), p.9 - 13, 2001/12
天然水系におけるアクチノイドの化学種、及びそれらが関与する反応を解明するために開発されてきたスペシエーション法(状態分析法)のうち、レーザー技術に基づく光熱変換分光法,レーザー誘起蛍光分光法、及びレーザーブレイクダウン分光法について解説した。